バイクのエンジンがかからないときにしばしば使われるのが押しがけです。
何となく押しがけしてかかるようになり、特にその原理について知らないという人は多いかもしれません。
しかし押しがけしてもエンジンがかからないというときなどには、バイクのどのパーツが消耗しているのか原因の切り分けに使えます。
今回は正しいバイクの押しがけの原理について解説したいと思います。
押しがけの原理とエンジン始動での作動装置
押しがけ、あるいは通常のエンジン始動でも特に変わらないのはクランクを回すということです。
どちらにしてもクランクを回すことでエンジンが始動します。
このクランクはスペース的な問題もあってエンジンでなくミッション系に含まれています。
クラッチアウターのギアを回すことでクランクは回るのですが、通常のバイクではリアタイヤにスターターのギアがつけられています。
そのため押しがけではリアタイヤを強制的に回すことでエンジンを始動させることができるというわけです。
押しがけとバイクが進む原理は逆?
意外と知らない人も多いかもしれませんが、バイクがエンジンを使って進むというのもクランクを使うことが必要です。
その動力をタイヤに伝えるのですが、
- クランクが回る
- エンジンクランクシャフト
- クラッチ
- ミッションのギア
- チェーン
- タイヤ
上から順番にエンジンの動力が伝えられて、最後にタイヤが回るというようになります。
これがバイクが進むときの仕組みですが、押しがけではこの逆の工程でクランクを回すということです。
つまりタイヤを回し、クラッチやシャフトを通じて最後にクランクを回すということです。
この点ミッション車では押しがけできますが、AT車では押しがけできないということになります。
- AT車
- 原付(スクータータイプ)
このような車種では押しがけは通常行えません。
原付の場合でもしばしば質問されるのですが、押しがけで60キロほどの速度が出れば原理的には押しがけできるのですが、押しがけでそのような高速が出ることはかなり難しいので非現実的というようにいえます。
押しがけの原理とキックの原理は同じ?
意外かもしれませんが押しがけの原理とキックの原理とは同じです。
キックすることでやはりクランクが回る、あるいは回りやすくなるのですが、この点押しがけと原理は同じということです。
- 押しがけはタイヤの回転でクランクを回す
- キックは足の力でクランクを回す
ということで原理は同じで、ただ回す力の主体が変わるというだけとなります。
正しい押しがけの方法
では押しがけというのはどのように行うと良いのでしょうか?
バイクの重量によっては坂を利用するほうが楽になりますが、
- ミッションを2速、3速などに入れる
- クラッチを握ったまま坂を下る
- 少し勢いがつくとクラッチをつなぐ
- ここでクランクが回ることになるのでエンジンを始動させる
ちなみに坂が近くにないときには自分でバイクを押しても問題ありません。
同じようにクランクが回るので押しがけできます。
押しがけでは上のように2速、3速のほうがかけやすいのですが、これはローよりも抵抗が弱くなることに理由があります。
ローにすれば押しがけするときの車体が進む勢いをより必要とするので、より楽に押しがけでかかる2~3速を使うというようにします。
バイクの押しがけの原理とバッテリー
よく押しがけといえばバッテリーが弱くなっていて、セルでエンジンがかからないというときになるかと思います。
通常の状態のバッテリーであれば走行中に充電されるので、次の始動時にはそれを使ってクランクを回す力を持っています。
しかしバッテリーが弱くなるとクランクを回せないようになり、押しがけなどの人力も必要とします。
バッテリーの充電が足りないときには発電していないので、その発電の分を足のキックの力やリアタイヤを回すことで補っているというようにもいえます。
<スポンサード リンク>